とらまる保育園森のとらまる保育園

理事長インタビュー

保育園は、私たちにとってとても身近な存在です。
0 ~5 歳児を預かる保育園は、働くお父さん・お母さんを支え、子どもたちの安全と成長を見守る役割を果たしています。
そうした保育事業に 力を注いでいるのが 、徳島県で「とらまる保育園」を運営されている後藤寛司さん。 現在は、徳島県から 横浜市に拠点を移し新たな保育園の開園に向けて準備を進められています。なぜ、横浜市に保育園を開園しようと思われたのでしょうか。保育事業を始めたきっ かけから現在の取り組み、そして将来の展望までお話を伺いました。

1.保育園を始めたきっかけと「とらまる」に込めた想い
——保育事業をやろうと 思った きっかけ を教えていただけますか?

僕はもともと不動産業を営んでいました。新しいベッドタウンには他の地域から引っ越してこられる方がたくさんいらっしゃって、「近くに◯◯はある?」「こういう時はどこに行ったらいいの?」 といった窓口的なお問い合わせも受けるようになったのです。中でも多かったのが「保育園になかなか入れない」というお悩みで、「そんなに大変だったら自分 で作ろう」 と始めたのが 保育事業に取り組んだきっかけですね 。ただその前から 子供の教育に関わる仕事がしたいという強い気持ちは持っていました。

——そうだったのですね。 子供の教育に関心を持つようになった 理由をお聞かせいただけますか?

僕には息子が1 人いました。出産時の事故がもとでくも膜下出血の状態で生まれ、以来ずっと寝たきりになってしまったのです。 息子の付き添いに 病院に通うのが日課になっていきました 。 そこには息子と同年代の子供さんもたくさん入院して いまして 、次々と亡くなっていきました。そこはまるで戦場のようでした 。 息子は11歳で亡くなりましたが、元気で生まれてくることは当たり前ではない現実と向き合い続けた 11 年間でした 。

子供を健やかに育てることの重要さを痛感していたものですから、保育園のことで悩まれている方が多いと知った時に役に立ちたい気持ちが 波のように押し寄せてきたのです 。 家族に保育園を開園したいと言いました。 最初は「 子供を失った心の傷は 未だに癒えず、 元気な子を見るのは 辛い 」と言っておりましたが 、子供を失ったつらさが分かっているからこそ子供をみるのは僕らに与えられた使命 ではないかと納得してもらいまし た 。

——「とらまる」には可愛らしい響きがありますね。どのような由来があるのですか?

息子や同時期に入院していた子供たちにちなんだ名前をと考えてつけました。 息子とお友達は偶然にもみんな寅年だったのです。とらまるの「とら」は、寅年だった子供たちのことなのです。 お友達たち 、 息子を含め天国に旅立ってしまいましたが、「元気に生まれて当たり前のように 生きたかった」という想いを背負うために立ち上げた保育園にはぴったりな名前だと思っています。

2.徳島から横浜へ決意を決めた理由とは?
——なぜ、徳島を出て横浜で保育園を始めようと思われたのですか?

直接のきっかけは知り合いに 頼まれたからですが、 実は父の影響で昔から横浜に対して強い思い入れがありました。僕の父は、護岸工事の仕事をしていて神奈川県での暮らしが長かったの です。「神奈川県の人にはお世話になった。横浜ってすごくいい所だよ 。 みんな親切だった。 」と、 父は 子供の僕に当時の思い出をよく話してくれました。 僕の祖父は父が小学校 2 年生 の時に戦死したため、父は学校 にも行けず働き始めた 。幼い父を横浜の人たちは温かく迎えてくれたのでしょうね。 そんな 横浜に大きな憧れを抱くようになった の です。

——そのような背景があったとは。 知り合いに頼まれたのも何か縁を感じますね。

そうですね。徳島から横浜に行った知り合いがいて、ある日「子供を預けるところがないので、横浜にとらまる保育園出してよ。あの雰囲気で出してくれたら子供たちは絶対喜ぶから」と声をかけてくれたのです。その時、横浜に対する気持ちが再び鮮明によみがえってきました。

調べてみると、横浜は待機児童が多く深刻な保育園不足であることが分かりました。こんなに困っているのなら、自分が行ってなんとかしなければと思ったのです。 問題を解消すれば 父がお世話になった 横浜にも恩返しができますし、 憧れだった横浜! これは行くべきだと確信しました。

3.保育事業を通じてかなえたいことと将来の展望
——保育園の運営において 特に意識されていることは何ですか?

「個々に寄り添った保育ができる環境づくり」を最優先しています。子供 には 一人ひとり個性がありますし、 保育士さんに余裕がないと、個性に寄り添った保育はできません。この世で一番大事な宝である子供たちを預かるわけですから、保育士さんが余裕を持って仕事ができるように環境を整えるのが法人の代表である僕の役目だと思っています。 例えば、先生の配置人数 に余裕 を作ったり 、 情報を共有しやすい環境、 福利厚生を手厚くするとかですね。 それが影響しているからなのか 、 とらまる保育園は比較的離職率が低いです。

——後藤さんの保育事業に対する愛情 や 使命感を感じます。

僕は人に喜んでもらえるような仕事をするのが好きです。これは 綺麗事ではなく、お金にかえることのできない喜びなのです。 「 とらまる保育園 大好き 」と子供たちに喜んでほしいし、保育士さんや 保護者皆様 、さらに地域の方たちからも喜んでもらいたい。純粋にその気持ちだけでここまできました。

——ありがとうございます。 最後に、今後の展望についてお聞かせいただけますか?

憧れの横浜で、保育事業を展開できることがとにかくうれしいですね。今は「何年かかっても 良いので 必ず横浜にとらまる保育園を開くぞ」という気持ちで、開園に向けて全力で取り組んでいる状態です。その次のことはほとんど考えていませんが、子供たちの可能性は無限大であるように 、 僕も可能な限りずっとずっと保育事業でチャレンジしていきたいと思います。

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